Je veux le protéger




風櫻が今日退院することは知っていたから特に驚かないし、連絡なんてなくていい。

というか俺の場合は携帯を持ってても、電話とかあんま取らねぇから、しても無駄。

けど、理櫻は違う。

絶対に電話もメールもすぐに気がつくし何回もかかってきていて、出れる状況じゃなければ何らかの方法でそれを伝えてくる。

なのに、それすらもない?




「‘風櫻が煩くてな。
調べてみてくんね?’」


「‘煩いってなにさー!
兄さんは心配じゃないわけー!?’」



電話の向こうから聞こえる風櫻の叫び声。

直接聞いてたら耳が潰れてただろうなぁ。



『……るせぇ。
調べるって言ってもパソコンとかないけど。』


「‘お前学校だろ?
雷光でも襲ってぶんどってこいよ。
非常事態だ。’」


「……おい。
お前の兄貴とんでもねぇ事言うな。」




電話の声が聞こえてたのか白刃が言ってくる。

その意見には俺も同意。

なんでそんなめんどくさいことしなきゃならねぇんだよ。



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