政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
「いいえ。悪いのは強引で腹黒いくせに、肝心なところで言葉が足りない専務です! もうあんな男、彩乃さんに愛想を尽かされても文句は言えませんわ!」
曲がりなりにも上司に対する言葉とは思えない悪態を吐く赤名さん。
「いや、華。さすがにそれは環が可哀相だから。環にとって彩乃さんが初恋で戸惑ってるんだよ」
相良さんが親友をさりげなく庇う。そんな相良さんを見て赤名さんはコホンと咳払いをして言った。
「どうか専務の元に戻っていただけませんか。あなたの不在を知ったら何をしでかすかわからないので。そして専務に私たちに話してくださったことや、ご自身の中にあるお気持ちを話してください。ああ、でも彩乃さんをこんなに悲しませた罰として私が彩乃さんを連れ帰ろうかしら……」
なぜか含みをもたせた笑顔を向ける赤名さんを相良さんが止める。
「華、やめろ。確かに環が彼女の本心を知ったら、ますます過保護になって囲い込みそうで厄介だけど、このまま離婚されたらそれこそ困るから。アイツのことだ。暴走しかねない」
疲れたように相良さんが言う。
どうやら赤名さんは私が区役所にやってきたことを環さんに報告していないようだ。
彼女に確認すると、そんな報告をすれば半狂乱で帰国しかねないので、と至極真面目な顔で言われた。
まさか、あれほど仕事熱心な環さんがそんなことするわけがない。
そんな私の気持ちが顔に出ていたのか、赤名さんが小さく首を横に振る。
曲がりなりにも上司に対する言葉とは思えない悪態を吐く赤名さん。
「いや、華。さすがにそれは環が可哀相だから。環にとって彩乃さんが初恋で戸惑ってるんだよ」
相良さんが親友をさりげなく庇う。そんな相良さんを見て赤名さんはコホンと咳払いをして言った。
「どうか専務の元に戻っていただけませんか。あなたの不在を知ったら何をしでかすかわからないので。そして専務に私たちに話してくださったことや、ご自身の中にあるお気持ちを話してください。ああ、でも彩乃さんをこんなに悲しませた罰として私が彩乃さんを連れ帰ろうかしら……」
なぜか含みをもたせた笑顔を向ける赤名さんを相良さんが止める。
「華、やめろ。確かに環が彼女の本心を知ったら、ますます過保護になって囲い込みそうで厄介だけど、このまま離婚されたらそれこそ困るから。アイツのことだ。暴走しかねない」
疲れたように相良さんが言う。
どうやら赤名さんは私が区役所にやってきたことを環さんに報告していないようだ。
彼女に確認すると、そんな報告をすれば半狂乱で帰国しかねないので、と至極真面目な顔で言われた。
まさか、あれほど仕事熱心な環さんがそんなことするわけがない。
そんな私の気持ちが顔に出ていたのか、赤名さんが小さく首を横に振る。