政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
「ねえ、彩乃に紹介したい人がいるのだけど飲みにいかない?」

今朝、営業部に向かう廊下でたまたま出会った眞子に誘われた。

まだ眞子には環さんのことを話していなかった。話さなくてはと思っていたのだけど、反対され叱られそうな気がして、なかなか言い出せずにいた。

「あの、眞子。実は話したいことがあるの」

もう誤魔化せないし覚悟を決めなくてはと、私は彼女と昼休みに会社近くの公園で待ち合わせることにした。


昼休み。

いつもの公園のベンチで、近くのカフェで買ってきたテイクアウトのツナサンドイッチをほおばる眞子を見ながら、私は口火をきる。

緊張してしまって手にしたハムサンドイッチを食べる気になれない。

この公園は会社からそれほど離れていないのだが、社内の人間で利用する人が少なく、相談事や誰かに聞かれたくない話がある場合、私たちはよくこの公園を利用していた。

滑り台に鉄棒といった少しだけの遊具の近くに三つのベンチが置かれている。小学校の教室くらいの大きさの公園には小さな花壇がある。今日は無邪気に遊びまわる小さな子どもたちの姿も見えず、公園内は心地よい静寂に包まれていた。春の柔らかな日差しが心地よい。

そんな雰囲気の中で私は、やっとの思いでひと通りを話し終える。そんな私をツナサンドイッチを完食した眞子が睨み付ける。
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