愛の囁き☆私は強くない番外編☆
「ありがとうございました」

「お大事に」


妊娠はしてませんよ…

してなかった。
妊娠していなかった。
喜ぶ事なのに…

なぜか涙が出ていた。

「あれ?なんで泣いてるの?妊娠してなかったんだから、喜ばなきゃ…う、うっうっ…」

一人歩きながら私は泣いていた。
どこをどう歩いたのか、家に着いた私は声を出して泣いていた。

妊娠していなかったことは、喜ぶ事なのに、どうして?
拓真さんが、楽しみにしてたから?どうして?

違う。きっと違う。
妊娠した事がきっかけで、拓真さんが私に振り向いてくれたから?

うっ。

♪♪♪♪♪♪♪


「…はい…」

「あ、香里?病院行ってきた?どうだった?」

拓真さんからだった。
今日、拓真さんに病院に行く事を伝えていた。

「……ご、ごめんなさい。妊娠してなかった…ごめんなさい」

「…え、な、なんで?してないって?本当に?」

「っ、先生から、してないって」

長い沈黙の後、拓真さんは何も言わず電話を切った。

「っ、もしもし?拓真さん?」

かけ直しても電話は繋がらなかった。

私の心配していた事が、的中した瞬間だった。
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