愛の囁き☆私は強くない番外編☆
新しい一歩…
謝らないで、そう倉橋さんは言ったけれど、私と出会った事で、拓真さんと倉橋さんは別れる事になったんだし、やっぱり私には重い気持ちが残ってしまった。

いつか、笑って話が出来る時が来るんだろうか?

私はあれから、全ての事を忘れるかのように仕事に打ち込んだ。
仕事をしている間だけ、忘れていられるから。
翠も心配していたけれど、今の私には変に優しくされても余計に心に重くのしかかっていた。

優しくしないで。



倉橋さんが、拓真さんが謝りに来たのか、と聞いてきていたけれど、あれから拓真さんと会っていない。

私に謝る必要なんてないと思っているのか…、その方が気持ちに整理がつくからいいけれど。

あの場所にいた陽介叔父さんも、その事に触れてはいけないと、思っているのか私と会ってもその話は一切しなかった。
ただ、あの事があってから初めて会った時に一度だけ、私にこう言った。
『辛いだろうけど、勉強したと思え。辛いのはお前だけじゃないんだから』

分かってる。
私だけじゃないこと、辛い思いをしたのは、倉橋さんも同じ。

きっと拓真さんも…
< 86 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop