愛の囁き☆私は強くない番外編☆
うん、翠の言いたい事も分かった。

私もあの時の拓真さんは嘘がなかった、と。

ただ、そんな事になってしまった原因がお互いにある事を棚に上げて、いい人にするつもりはないから、と重ねて翠は言った。

「時間はかかると思うけど、そんなに好きになれる事が出来たのは、私よかったと思ってる…叶わなかったけどね」

そう言って、グラスに入った酎ハイを飲み干すと、翠はうんうん、と頷いてくれた。

「これも経験よね。私なんかさ、三股された事あるんだから!それがさ…」

最後の方は翠の恋愛話で盛り上がっていた。


一つ、私は前進したのかもしれない。


「うー頭痛い…」

「おはよ!ん?翠、二日酔い?」

頭を抱えながら歩いている翠を見つけた私は後ろから声をかけた。
振り返った翠は、気持ち悪いと言いながら頭を抱えていた。

「なんで、香里普通なのよ」

「だって、私、翠ほど飲んでないよ」

「飲み過ぎたか…」

「休みにしてもらったら?」

「そんな事出来る訳ないでしょ、うー。頭痛い…昨日は、気持ち良すぎで飲んじゃったよ」

「ふふふ。薬は?」

「大丈夫、飲んできたから。水買ってから病院行くから、じゃあね」

そう言うと、病院前にあるコンビニに入って行った。

私はそのまま職員用の入口から、病院に入った。

「おはようございます」

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