愛の囁き☆私は強くない番外編☆
あの出来事からどれくらい経ったのだろう。

季節も変わり、春がもうすぐそこまで来ていた。
そんなある日、私の前に思いもしない人からの訪問があった。


「久しぶり、遅くなってごめん」

「え?」

振り返ると、そこには私が愛していた人が立っていた。


「ど、どうして…」

固まった私を見たその人は、下を向いてポツポツと話し出した。

「会いたくなかったと思うけど、ちょっといいかな?」

「え?」

病院から出た私を呼び止めたその人は、私を誘って近くのカフェへと向かった。

向かい合わせで座り、少しの沈黙が流れた。

「あれから元気に…してた?いや、元気なんかないよな…俺のせいで…」

「…あの、どうして…」

「あ、いや、…」

なかなか上手く言葉が出てこなかった。

顔を見ると、少し痩せたのか、疲れた顔をしていた。

「ちゃんと謝っていなかったから、ほんとゴメン」

頭を下げた彼に、私は声をかけていた。

「拓真さん…もう大丈夫です。私も悪かったんです。あなたを好きになってはいけなかったのに、だからもう謝ってもらわなくていいんです」

「いや、君を傷つけたのには違いない。俺が全部悪かったんだ。あの時も不貞腐れて、謝りもしないで。往生際が悪すぎるよな…ほんとごめんなさい」

そう言って、もう一度頭を下げた。
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