愛の囁き☆私は強くない番外編☆
「じゃ、じゃあ、またね。もし…、また拓真が何か言ってきたら、俺に言って。何も話なんかしてこないと思うけど…」

「え?」

「あ、大丈夫だと思うけどね」

「いえ、ありがとうございます。だけど、大丈夫です。ご心配をおかけしてすみません」

「そ、そう?じゃ…」

橋本さんが、まだ何かを話そうとしていたけれど、私は頭を下げてその場を離れた。

大丈夫だと言ったけれど、あの頃を知る人と話をするのは、言葉に詰まってしまう。

そう、思いながら歩いていると、後ろから声が聞こえてきた。

「浜口さん!」

「え?」

後ろを振り向くと、走ってくる橋本さんが目に入った。

「な、なんで…」

「ごめん。…っ、まだそんな気にもなれないだろうし、俺となんか嫌だろうけど、もし…よかったら、食事でも…ど、どうかなって」

「え…」

私の頭は真っ白になっていた。
橋本さんが、何を言っているのか、どう答えたらいいのか…

「あ、こ、困るよね。うん、これ電話番号…いつでもいいから、その気になったら…」

「え?」

そう言うと、橋本さんは電話番号を書いた紙を手に握らせると、もと来た道を走って行った。

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