一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
(……父さまに、会いたいな)
寂しさを紛らわすように、メアリは首から下がる銀色のペンダントに触れた。
丸型の惑星のようなフォルムのそれは、メアリがジョシュアに預けられた際、共に渡されたものだ。
そういえば、今年はまだ花をもらっていない。
父に何かあったのではと不安に駆られたタイミングで、ユリウスが「前から思ってたけど」と唇を動かした。
「メアリはいつまで経っても俺に敬語で話すね」
どうやらいつの間にか俯いてしまっていたらしい。
メアリは顔を上げると、月明かりに照らされたユリウスを見た。
「ユリウス様は騎士様ですから」
「でも、ウィルには敬語を使ってないだろう?」
「ウィルは幼馴染なので」
メアリは話しながら脳裏にウィルの姿を思い浮かべる。
本名はウィリアム・バーナード。
ウィルはメアリよりひとつ年上だけれど、家が近いこともあり幼いころからの友人だ。
素直じゃなくそっけない態度をとることが多いが、心優しい一面も持ち合わせており、最年少で近衛騎士団に入団した天才騎士でもあるウィルを、メアリは自慢の友人だと思っている。