一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
「こい、ウィル!」
「ふっ!」
ウィルの剣撃をルーカスは双剣で受け止めいなす。
天才と謳われるウィルだが、第二部隊隊長であるルーカスも勝るとも劣らない能力の持ち主。
訓練とて互いに一歩も譲らない打ち合いをする二人の気迫に目を奪われていたメアリだったが、ふと、視界の中に長剣を振るう本日は非番のはずであるユリウスの姿を見つけた。
休日くらいはゆっくり身体を休めてほしいと心配するメアリだったが、しかしこれもまた彼の強さの秘訣なのだろう感心する。
そして、その努力の賜物であろう洗練された優雅な身のこなしに自然と見惚れていたら、視線に気づいたユリウスと目が合い優しく微笑まれた。
──トクンと、メアリの胸が思わず跳ね上がる。
どこか甘さを含んだそれに戸惑いながらも笑みを返したメアリだったが……。
「ふぅん?」
オースティンがニヤニヤと眉をあげ、メアリは「な、なんですか」と僅かに身を引く。
「いやいや、護衛殿とは仲良くやれているようでなによりだと思ってな」
「仲良くってそんな、あの、普通ですから」
頬をほんのりと赤く染めるメアリを若いなとオースティンが笑った時だ。
「失礼します」
白い扉を押し開けてイアンがやってきた。