一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


メアリの中に亡き王の姿を見た気がしたイアンは、ふと頬を緩める。


「さすが、メイナード王の血を引く方だ。こうと言ったら聞かない。それともジョシュアの育て方かな」

「きっと、どちらもです」


答えたメアリが優しく、けれど少し寂しそうに笑うと、イアンは「ありがとう」と囁くような声で言った。

そして、再び顔つきを厳しいものに戻す。


「急ぎ準備にかかろう。先行するオースティンは騎士団、兵団と連携を取り、明日早朝より迅速にフォンタナに向けて出立を。近衛騎士団はメアリ王女と共に明後日進軍開始」

「了解だ」

「了解です」


オースティンら騎士団のものたちが確かに頷いてみせ、その後もメアリとイアンは重臣たちと王女不在の間についての各対応を話し合った。




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