一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
「お、おかしいですか?」
侍女達に着付けてもらったが、もしかしてどこか変だったか。
もしくは見慣れない、似合わないなどの理由ではと居心地悪そうに視線を彷徨わせるメアリだったが、ユリウスは「その逆です」と笑みを浮かべた。
「可憐で気品もあって、君によく似合ってる。俺が敵なら、君を傷つけるなんてもったいなくてできないほどだ」
「褒めすぎですよ」
過度な賞賛に思わず頬を染めるメアリ。
嬉しいけれど、ユリウスに言われるとどうにも羞恥が勝ってしまい戸惑ってしまう。
そんなメアリに追い討ちをかけるようにユリウスは近づいた。
そうしてメアリの目の前に立つと、腕を伸ばし、頭部を飾るティアラの位置を直し始める。
「本当のことだよ。君は本当に、ずるいくらいにどこまでも綺麗だな」
頭上から降ってくる優しい声色の中に、一瞬、冷たさが混ざっていた気がしたメアリは、チラリと上目遣いでユリウスの様子を伺った。
その途端、気配に気づいたのかバチリと視線がぶつかってしまいメアリは慌てて逸らす。
「どうかした?」
「い、いえ、その、そ、そう! 改めて、一昨日の軍議ではありがとうございました!」
貴方の様子がおかしい気がして、などとは言えるはずもなく、メアリは誤魔化す為に助けられたことを口にした。