一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
「君が帰ってこなくて僕は生きた心地がしなかったよ。やっぱり僕がアホみたいに詳しく描いた地図ごときじゃ君の天才的な方向感覚に打ち勝つことはできなかったか。僕のクソが!」
自分を叱咤し悔しそうな顔をするジョシュアに、メアリはしっかりと首を横に振ってみせる。
「違うの先生! 地図はめちゃくちゃ役に立ったんです。おかげで行商人さんが滞在している宿に辿り着くこともできたの。でもその……珍しいものがいっぱいあって見せてもらっていたら、手にしていた地図をうっかり無くしてしまって……」
宿屋内を探してみたけど見つからず、帰る時間が遅くなってしまったのだとメアリは話した。
「心配かけてごめんなさい、ジョシュア先生。あっ、薬草は無事です!」
満面の笑みでアピールすると、ユリウスが「これかい?」とメアリから預かった布袋をジョシュアに手渡す。
たっぷりと薬草が入ったそれを受け取ったジョシュアは、深い深いため息を吐き出した。
「薬草はいい。そんなの投げ出してくれてかまわないから、どうか自分の命を優先してくれ」
そうしてくれないと、君の父上も悲しまれるとジョシュアに告げられ、メアリはまた「ごめんなさい」と謝罪を口にする。
「でも、王様には必要なものだもの」