一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
支度も済み、寝台に腰を下ろしながらメアリは思案していた。
(……このまま予定通りに進んでいいの? イアン様を待つ?)
ユリウスやルーカスの話では、警戒しつつ予定通り進めとの指示だったと聞いている。
ヴラフォス帝国の軍がロウを出てからではフォンタナが危ないからだ。
それはわかっているけれど、被害を最小限にするには、セリニに向かったイアンが戻るのを待ってから進むべきではないかと尻込みしているうちに、ついに出発の時間が来てしまう。
イアンはどうするつもりなのか。
今、自分にできることがあるではないか。
メアリは自分を乗せ街道を進む白馬の背の上で息を吐いた。
刻一刻と時間が過ぎ行くほどにメアリの緊張と不安も増していく。
それがあまりにも顔に出ていた為に、ユリウスが馬をメアリへと寄せた。
「顔色が悪い。もしかして体調を崩しているのでは?」
小声で尋ねられ、メアリは「大丈夫です」と返す。
するとユリウスが「ぼんやりして迷子にならないように」とからかうように目元を緩めた。