一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
「さ、さすがに皆さんといて迷子にはなりませんから!」
「そうかな? 野盗の時といい、君は迷子名人だから心配だ」
「ううっ……反論できない……」
「ははっ、でも、もしも何かあるなら遠慮なく言って。ひとりで抱え込んではいけないよ」
「ユリウス……」
優しい笑みに、砕けた口調。
公の場などでは接し方に気をつけているユリウスが、ふたりの時のように話しかけてくれたことに、気遣われたのだとメアリは悟る。
(ひとりで、抱え込んではいけない)
ユリウスの言葉を心の中で反芻し、顔を上げた。
能力のことを話せずとも、僅かでも彼らが傷つく危険を回避するアドバイスくらいはできる。
不思議がられたら悪い夢を見たと、稀にある正夢というものにすればいいのだ。
「ありがとうございます、ユリウス」
メアリは礼を述べると、自分の右側を歩くルーカスとウィルを見た。
「ルーカス、ウィル。これは、もしもの話しなんだけど」
話し始めた内容に、ルーカスとウィルは眉を寄せる。