一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
今の今まではルーカスが指揮をとっていた。
そして現在、宰相であるイアンが戻ってきている。
自分が命令する必要がどこにあるのかと戸惑っていると、イアンは勇気付けるように微笑んだ。
「この今があるのは間違いなくあなたのおかげだ。あなたはまさにアクアルーナを導く者。どうぞご命令を」
メアリこそが相応しいのだと背中を押す言葉。
正直なところ、まだ戴冠式もしていない身でも良いのかという不安はあったが、それでも、自らの務めを果たすべくここにいることを胸に、メアリは深呼吸する。
そして、この命を削る戦いが早く終わることを願いながら、父から譲り受けし剣を抜くと空に向かい高く突き上げた。
「全軍! アクアルーナに勝利を!」
メアリの声にアクアルーナ軍が呼応し、一斉にヴラフォス軍とぶつかる。
先程までは防衛をメインとしだ攻撃だったが、勝機を前に全戦力が攻撃に転じた為、ヴラフォス軍はその勢いに押されはじめた。
あと少しで退却するだろう。
誰もがそう思った時、背後の森に潜んでいたらしいヴラフォスの伏兵がメアリを狙い馬で駆けて迫ってきた。
その数は50騎ほど。