一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


矛先がウィルに向いてしまい、メアリは慌てて隠れるのをやめた。


「イアン様! ウィルは私に言われたから付き合ってく──」

「気分転換も必要かと思ったので」


メアリの声を断つようにして、恐縮するでもなく淡々と答えたウィルに、イアンがまたもや溜め息を漏らすと同時、オースティンの笑い声が響く。


「行動力があっていいじゃないか。確かに、アクアルーナを出てから色々あったんだ。少しは気分転換した方がいい。俺なら許可してやるぞイアン」


外壁の回廊からメアリたちの元へと歩み寄るオースティン。

隣に立つ優しい笑みをたずさえた女性に、オースティンが「なぁ? ユリアナ」と同意を求めた。

ユリアナと呼ばれた女性は白い修道服を身に纏っており、頷くとふっくらとした唇を開く。


「はい。そんなだから、兄様には女性が寄り付かずいつまで経っても独身なのです」


満面の笑みで軽く毒を吐いたユリアナ。

イアンを兄と呼んだことで、メアリは瞳を輝かせた。


(この方がイアン様の妹、ユリアナ様!)


さっそく礼を伝えるべくまずは挨拶をしようと口を開きかけたメアリだった……が。


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