一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


「母とは知り合いだったのですか?」

「マリアがメイナード様と知り合うよりも前から、マリアはわたくしの大切な友人でしたわ」


もちろんユリアナは、兄がメイナードの友であり従者でもあることは知っていた。

だから、マリアからメイナードとの婚姻を報告された時は不思議な繋がりに驚いたのだと笑うユリアナは、メアリの向かいの席に座ると、穏やかな声色で訊ねる。


「メアリ様は、ご自分のお力がマリアから受け継がれていることをご存知であると、先ほどオースティンから聞きましたわ」

「はい。その通りです」


メアリが小さく頷くのを確認してから、ユリアナは再び口を開いた。


「わたくしは、マリアの運命がメイナード様と繋がっていたことは知らなかったけれど、マリアがティオ族の巫女の血筋であることは彼女から聞かされ知っていましたの。メアリ様は、ティオ族についてはどれくらい知ってますの?」

「詳しくは知らないんです。知ってるのは、巫女の血筋は予知の力があることと、力を発揮する時は目の色が赤くなる特徴があること。それから、ティオ族が暮らしていた村はもうないことくらいでしょうか」


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