一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
メアリが持つ情報は、幼い頃にはジョシュアから、王女だと明らかになった後にイアンから聞かされたものだ。
力の制御ができはしないかと城の書庫でティオ属について調べようと考えたこともあったが、誰かに知られて勘繰られても困るとイアンから忠告を受けたのでやめていた。
そのことも伝えると、ユリアナは「苦労なさってますのね」と気遣わしげに眉を寄せる。
「では、私が知る限りでよろしければお伝えしますわ」
「ありがとうございます!」
そうして、ユリアナはティーカップにそっと口をつけて飲むと語り始める。
「今では知る人も少ないですが、昔は巫女の血筋の者は平時でも瞳が緋色であったそうですの」
そもそも、ティオ族が住んでいたチェリノ村はアクアルーナではなくフォレスタットの北方に位置する森の奥深くにあったのだとユリアナは言う。
つまりは、フォレスタットの民であったのだ。
また、森の奥地に村を作ったのは、力を利用しようとする者が安易に辿り着けないようにする為だったらしい。