一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


「村がなくなった今ではティオ族を知る者も少なくなりましたわ。予知能力についてはフォレスタット内では伝説のような扱いになっているようですわね」

「そうなんですね……」


確かに、アクアルーナではティオ族と言われてピンとくる者は少ないだろう。

伝説として語られているのもメアリは聞いたことがない。

それも、ティオ族がフォレスタットの民だからと言われれば頷ける。


「伝説扱いとはいえど、御伽噺ではありません。ティオ族についての研究をしている方もいると聞いていますもの」

「そんな方がいらっしゃるんですね!」

「ええ。フォレスタットの王都に住んでる方だとマリアからは聞きましたわ。それと、もうひとつ、最近耳にしたことが」

「なんですか?」


どんな耳寄り情報だろうかと、興味深げにメアリが身を乗り出した。

しかし、ユリアナの表情が固いものに変化するのを見て、メアリは不安げに姿勢を戻す。


「理由はよくわからないのですけど……一年ほど前に、ヴラフォスの宰相がフォレスタットを訪ねてティオ族について聞きて回っていたらしいんですの」


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