一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


ユリウスは少し離れた場所で少々やっかいな魔物と対峙していて助けは望めそうにない。

せめて遠距離から攻撃できる武器だったら良かったと心の中で嘆いていると、ジャイアントセンティピートがむくりと頭部を持ち上げた。

見たくもない足の付け根を露わにされ、グロテスクな光景を前にメアリから悲鳴が上がる。


「メアリ!」


オーガと呼ばれる巨体で知性のない人型の魔物をようやく斬り伏せたユリウスは、身を翻し躊躇うことなくジャイアントセンティピートを真っ二つに切断した。

そして隙なく辺りに姿勢を走らせ、地面に横たわり動かなくなった魔物たちを確認すると、足元から崩れ落ちかけるメアリを抱き止める。


「あり、がとうございます……」

「もう少し進むと魔物から身を隠せるスペースがある。そこで休もう」


空の見えない洞内にいる為正確な時刻はわからないが、そろそろ夜が明ける頃だ。

朝になればイアンたちにメアリがいないことが気付かれてしまうだろうと考え、洞窟を休みなく進んでいたが、ここまで魔物を屠り続けてきたユリウスも疲れが出ていた。

特に今さっき倒したオーガは手強く、疲労蓄積のトドメを刺された。

ユリウスはメアリの肩に腕を回し支えながら休憩スペースへと向かう。


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