一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


「無事だったかヨハン」

「はい」


ヨハンはユリウスが近衛騎士隊に入隊するころ、アクアルーナの一般兵として潜り込んだ者だ。

以来、ユリウスに忠実に仕えており、最近まで斥候兵として働いていた。

しかし、今回の奇襲作戦ではユリウスではなくモデストの命を優先させなければならず、また奇襲を成功させるには自分に疑いの目が向けられるのは必須だった為、ユリウスがアクアルーナを発つよりも前にヴラフォス軍に戻っていた。

その辺りの事情はユリウスにも理解できているのでこうして再び情報を持ってきたであろうヨハンを責めたりはしないが、自分を裏切らせたモデストには腹が立っている。


「動きは?」

「ロウからの軍を警戒しているのか、捜索に関しては少数部隊がフォンタナを出たようです」


フォンタナから国境を越えてすぐのフォレスタット王国に属する街デセルトには、ルーカスの部隊から数名が向かっていると聞き、ユリウスは思案するように顎に手を当てた。


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