一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
メアリは自分を覆っていたキルトのブランケットを腕に抱えると、しゃがみ込んでそっとユリウスの膝に乗せる。
一瞬、長い睫毛が僅かに揺れたが、瞼が持ち上がることはなかった。
洞内では眠っていなかったようだし、やはり疲れが溜まっていたのだろう。
(それにしても……寝顔まで綺麗なのね)
あどけなさの滲む端整な顔に見惚れていたメアリだったが、ふと鼻にむず痒さを覚えた。
今くしゃみをしたらユリウスを起こしてしまうと焦るも、立ち上がる間もなく……。
「ふぇ…っぐじっ!」
噴射されてしまう。
しかも、我慢しようとしたせいで変なくしゃみになってしまった上、ユリウスが肩を揺らして声を出さずに笑っていた。
「ご、ごめんなさい、起こしちゃって……」
「いや、起きたのは君のおかしなくしゃみのせいじゃないから」
ではいつからと首を傾げたメアリだったが、それよりも普段の自分ならしないヘンテコなくしゃみをユリウスに聞かれた羞恥心で頬を赤らめる。