一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
そんな二人の様子をバルコニーから眺めていたルシアンは、優しく頬を緩め見守っていた。
「やっぱり、動くべき……なんだろうな」
呟き、瞳を閉じるルシアン。
その後ろには、ヨハンが控えている。
「ルシアン様」
「うん?」
「本当によろしいのですか?」
訊ねられ、ルシアンはゆっくりと瞼を持ち上げてから振り返った。
「そうするのがいいと、今、あの二人を見ていて思わされたよ」
そして、チャンスはきっと、この機会しかないのだ。
例え裏切り者と呼ばれようとも、動く。
「では、すぐに」
「うん、よろしく」
くれぐれも慎重に。
伝えると、ヨハンは「御意」と頭を下げ、早々に宮殿を出て馬を走らせた。