一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
悪いことが立て続けに起き、誰も信じられなくなった皇帝は、常に隣で励まし続けていたモデストの意見だけを聞き、他は疑いながら生きている。
「侵略も、君を攫うことも、昔の父上ならしなかった。ヴラフォスがおかしくなったのは、モデストが現れてからだ。必ず奴が裏で手を引いている。その証拠を手に入れようと探っていたら……」
「勘付かれたの?」
「その通り」
答えたユリウスは、ホットワインを空にして更に語る。
『信用されていないのは悲しいですなぁ。あまり疑っていると、悪い気を引き寄せて良くないことが起きるかもしれません。あなたの大事なものや人がさらに傷つくかも……しれませんよ』
脅され、その後すぐに皇帝よりアクアルーナへ潜入する任務が下されたと。
「成果を上げて、早く国に戻ることを第一に考え、情報が得られるようにアクアルーナの騎士を目指した。その間も父上はモデストの言葉に惑わされ、モデストの思うままにヴラフォスは動いていたよ」
何年経っても戻れず、歯がゆい日々を送っていたユリウス。