一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
「そして俺も、結局はモデストの思うままに踊らされて……メイナード王を、死なせてしまった」
絞り出された声は後悔を滲ませ、ユリウスがごめんと呟くと、メアリはホットワインを口に含んで静かに飲み込む。
「最初から、父の命を狙う計画だったの?」
「俺の計画では、王を捕らえて王女が生きているのか、誰であるかを吐かせるものだった」
「……じゃあ、なぜ」
メイナードは死んだのか。
最後まで紡がずともユリウスは明かす。
「メイナード王を切ったのは、ザエルだ」
黒騎士を束ねるザエルは、モデスト・テスタの私設騎士長。
メアリへ向かって馬で駆けてくる角兜の姿は今でも脳裏に焼き付いている。
「モデストがやらせたの?」
「ザエルは命令に忠実だ。勝手なことはしない」
つまりは、モデストが命じたことしかしないということだ。
「ごめん。こんな話をしたら、また眠れなくなるな」
「……いいえ、少し安心した」
「なぜ」
重い話をし、メアリにとって辛いことも聞かされたというのに、どこに安心する要素があったのだと訝しげなユリウス。