一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
踏み込まないと決めた。
けれど、メアリの言葉に答えたくて仕方ない。
酔っているのは酒のせいか、メアリの寄せる好意にか。
どちらにせよ、メアリの零した告白に、ユリウスはもう誤魔化せなくなってしまった。
「メアリ……俺も、君といる時間が好きだ。君の声が、強くあろうとする姿が、優しさが、笑顔が……たまらなく、好きだよ」
胸が一際高鳴る中、閉じ込めていた想いを吐露し、メアリの反応を待つ。
しかし、テーブルに突っ伏したメアリは瞼を下ろしたままピクリとも動かない。
まさかと思った矢先、メアリ深い寝息が聞こえてきて、ユリウスは双眸を丸くした。
「嘘だろ……ここで寝るのか」
突っ込みも夢の世界に旅立ったメアリには全く届かず、声を抑えて笑う。
寝不足にワインが効いたのか、髪を撫でても瞼は震えず、ユリウスはメアリを横抱きにして寝台の上に寝かせた。
そうして、横たわるメアリの側にそっと腰掛けると、ユリウスは優しい手つきで顔の輪郭を撫でる。
その指を少しだけ開かれた潤う唇に触れさせれば、池に沈んだメアリに酸素を分けた時のことを思い出した。