一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
花壇にはよくフレグランスに使われる花が咲いている。
また、北の地では育ちにくい薬草は温室で栽培されていて、ハーブティー用の薬草を摘むようにメイド長から頼まれたロッテは中へと入って行った。
(ダフォディルはあるかしら)
メアリはまず、湿布薬となる花を探して歩く。
(ラベンダーもあるのね。安眠に効果があるし、少しもらっていこう)
ラベンダーの花に手を伸ばしたメアリは、人の声につられてそちらを見た。
すると、部下を連れたモデストが現れて視線がぶつかる。
モデストは部下に待つように告げると、メアリへと歩み寄った。
「これはこれは、おはようございますメアリ王女様」
うやうやしく頭を下げるモデストに、メアリも軽く会釈する。
「おはようございます、モデスト・テスタ宰相様」
「どうぞ気軽にモデストとお呼びください」
冷たい風に様々な薬草が身を委ねるように揺れる中、モデストは「メアリ王女、実はあなたにお聞きしたいことがありまして」と胸に手を当てた。