一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
「例え叶えることができないのだとしても、きちんと聞き、考える姿勢が必要だわ。少なくとも、父はそうしていました。そして私もそうするつもりです。いえ、そうあるよう心がけます」
ハッキリと言葉にするメアリに、モデストは小馬鹿にするように肩を揺らし笑う。
「綺麗事を。それでは民はわがままになり、王を軽んじるではないですか」
「威圧的で身勝手な振る舞いで国を動かせば怒りをぶつけるのは当たり前です」
自分も町娘だったメアリにはよくわかっていた。
国の為にと民を犠牲にするやり方には間違いなく怒りを生む。
何も手を打たなければ見捨てられたと嘆く。
だからこそメイナードは耳を傾け続け、できる限りの手を尽くしてきた。
例えすべてを救えなくとも、限界はあるとしても、その姿勢が、アクアルーナの民の心を掴んでいたのだ。
全ての者を救えるなど夢物語だとメアリはわかっている。
それでも、自分に課せられた役割りにしっかりと向き合っていきたい。