一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
一方その頃、ユリウスはルシアンの部屋を訪れていた。
昨夜から体調が優れず、寝台の上で本を読んでいたルシアンだったが、また出直すと気を使い出て行こうとしたユリウスを制し、本を閉じた。
「それで、僕に相談とは?」
「メアリのことで……」
「ちょうど良かった。僕も確かめたいことがあって」
にっこりと笑ったルシアンは、寝台の横に用意した椅子に座るユリウスを覗き込むように身を乗り出す。
「昨夜、ついにメアリ王女と結ばれたの?」
「は!?」
兄から飛び出た発言に、ユリウスは目を白黒させた。
手を出さなかったかどうかと言われたら、勝手に口付けたので堂々と首を横には触れないが、決して結ばれてはいない。
しかし、やましさ故に動揺を隠せないユリウスの姿を、どこか楽しそうに見るルシアンは「実はね」と人差し指を立てた。
「昨夜、メアリ王女の部屋からユリウスが出てきたのをクレイグが見たらしい。可愛い子が生まれるのだろうと嬉しそうにしていたよ」
(犯人はクレイグか!)