一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
村で父と二人暮らしをしている少年が、不思議な力を持つ少女と出会い、数奇な運命に導かれ、国を救う勇者に成長していく物語。
メアリはユリウスが手にする本のタイトル見て瞳を輝かせた。
「これ、私も好きな本よ! ジョシュア先生が人気だからと買ってきてくれて、凄くワクワクして夜更かししたくらいにハマったの」
「同じだ。俺も剣の訓練で疲れてるのに、物語の面白さに目が冴えて読み続けてたよ」
見てもいいかとメアリが問うと、ユリウスは快く本を差し出す。
パラパラとページをめくり、文章や挿絵を目にして懐かしさに頬を緩めた。
「これ、借りてもいい?」
「また寝不足になるんじゃないのか?」
「何度も読んでる本なら眠くなるかもしれないでしょ?」
メアリの発想になるほどとユリウスは相槌を打つ。
「それなら、他にも気に入ったのがあれば持っていっていいよ」
「本当!? ありがとう」
喜んだメアリはさっそくユリウスの本棚を見させてもらい、時々本のあらすじを教えてもらいつつ興味のあるものをいくつか選んだ。