一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


メアリに王の剣を渡したイアンの説明によると、フォンタナに留まりメアリの捜索を続けること数日。

イアンの元にルシアンからの書簡を預かったヨハンがやってきたらしい。

そこに記されていたのは、メアリはイスベルに滞在していて、解放する用意があること。

しかしそれには誘拐を指示した黒幕であるモデストを捕らえる必要があり、協力してほしいとも書いてあったという。


「宰相モデストが表舞台に立つことがなくなれば、グラリア大陸は落ち着きを取り戻す。あなたも取り戻せて無益な戦もなくなるとあれば、断るという選択肢はなかった」


承諾後、すぐに近衛騎士は動き出した。

多くの兵はフォンタナに留まらせておき、フォレスタットにも協力を仰いで秘密裏にイスベルを目指した。


「門は? どうやって通ったの?」

「皇帝の護衛強化の為に兵を増やすという理由で」


ルシアンからの書簡を手にしたヨハンがいた為、門番たちは外套を被った兵がアクアルーナの近衛騎士だとは疑うことなく入門を許したらしい。


< 298 / 330 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop