一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


ユリウスがその策を知らされたのは、メアリが牢に入れられてすぐだった。

助けに行こうとした際、ルシアンに止められ説明を受けたのだ。

近衛騎士が到着するまで耐えてくれと頼まれ、ユリウスはいつでも出られるように常に待機していたと明かした。


「ユリウス、ありがとう」

「礼なら兄上に」

「いいえ、あなたにも。助け出してくれただけでなく、こうして守ってくれているもの」


先ほど、モデストに対しても言っていたのをメアリは忘れていない。

メアリの騎士だと、そう言っていたのを。

それは心が震えるほどに嬉しいものだった。


「少し押されはじめているか」


戦況を見守るイアンの眉根に皺が寄る。

皇帝が滞在している為、兵の数が多いだけでなく質も高い。

さすがの近衛騎士たちにも疲労が見えはじめ、防衛ラインが徐々に下がってきていた。

そこにきてさらに、右翼の第四部隊長イザークが怪我を負い、その綻びからヴラフォス兵がメアリたちに向かってなだれ込んでくる。


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