一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
「ど、どうしたんですか?」
「バチが当たっただけだろう。それより、申し訳ないけど矢を抜きたい」
「そうです! それを視たの。お医者さんが足りないんだけど、安心してユリウス。ジョシュア先生がすぐに来てくれるから」
「ジョシュア先生が?」
彼はアクアルーナにいるのではと首を傾げたユリウスに、メアリはもうすぐ来ますと自信満々に頷いた。
辺りに目を向けると、ルシアンの指示を受けヴラフォス兵が引き上げていく。
近衛騎士たちも、負傷者の確認を始めており、メアリはようやく終わったのだと息を吐いた。
そして、ふと顔を綻ばせた。
「命がけで守ってくれてありがとう、ユリウス」
「俺は、君の騎士だから。それに礼を言うのは俺の方だ。父上の悪夢を和らげてくれてありがとう」
少しずつ、ヴラフォスは元の姿に戻るだろうことを信じ、二人は笑みを交わし合う。
すっかり蚊帳の外になったルーカスは、どう見ても想い合っているとしか思えないと肩をすくめ、馬に蹴られる前に騎士たちの元へ戻ったのだった。