一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
4.月夜見の王女と白銀の騎士
──蜂蜜色の瞳が、真っ直ぐに見つめている。
それは甘く蕩けたように細められ、美しい微笑みにメアリの胸は高鳴った。
幸福に酔いそうだと息を吐いて瞼を閉じると、じわりと熱を感じる瞳。
ああ、これは未来だと悟る。
どのくらい先だろうか。
「ユリウス」
名を紡ぐと、メアリの滑らかな頬に長くしなやかな指が触れた。
唇が愛を告げた気がするが、それは自分だったかユリウスだったか。
もしかしたら互いにだったかもしれないが、唇が重ねられれば、もうどちらでも良くなる。
愛の言葉の代わりに、何度も口づけを交わし、段々と思考がぼんやりとしてきたところで、プツリと糸が切れるように映像は途切れた。
そして、水底から半ば強引に引っ張られる勢いで意識が覚醒したメアリは、瞼を開いた瞬間に顔を真っ赤にする。
「ゆ、夢……?」
ユリウスへの想いを無理に押さえつけている自覚はあった。
溺れかけた時に唇を合わせたこともあり、それ故に都合のいい夢を見たのではと疑ったが、双眸に残る熱は予知を視ていたのだと知らせている。