一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


「おお、イアン侯爵。やはり騎士団長の肩を持つか。まさか貴殿も共謀し陥れたのでは?」


片口を意地悪く上げたランベルト大侯爵に、イアンまでもが呆れてため息を吐いた。


「話になりませんね」

「そうだな。まあ、内通者であるにしろないにしろ、とりあえずおふたりには責任を問わねばならぬ」

「それは如何様な?」


イアンの問いかけに、ランベルト大侯爵は垂れた瞼を細め、今の今まで浮かべていたニヤつきをしまい、厳しい声で告げる。


「王を死なせた責任だ」


にわかに室内が騒がしくなり、メアリは眉根を顰めた。

なぜ、ふたりが王を死なせたことになるのか。

イアンとオースティンは誰よりも王を守りたかったはずだ。

メアリはふたりが後悔に心を痛める姿を目にしている。

敵に囲まれながらも命がけで王を逃した。

悪いのはイアンやオースティン、騎士たちではなくヴラフォス帝国。

責任など取る必要はないのだ。

しかしランベルトは当然のように述べる。


「罠の可能性を考慮していたにも関わらず、王を死なせたイアン侯爵とオースティン騎士団長の責任は重いものである。よって、イアン侯爵は爵位の剥奪、騎士団長においては辞任を要求する」


メアリは大きな瞳を見張る。

それはあまりにも横暴だと。


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