一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
「王女に刃を向けるは重罪。どう償われるおつもりですか?」
「そっ、そやつが本当にメイナードの血を引いているかわからんだろう」
尻餅までついたランベルトが、痺れる手を押さえ、自らを見下ろすユリウスに答えると、イアンとオースティンがメアリを守るように挟み立つ。
「それは、我々が証明します」
モノクルに指を添え、イアンは続けて唇を動かした。
「彼女を隠すよう王に頼まれ助けたのは、私とオースティン騎士団長、そしてジョシュア医師だ。王が彼女に目をかけていたのは、王女の面影を重ねていたからではなく、彼女こそが王女だからですよ」
納得するように頷く数名の大臣。
その光景を見ながら、オースティンは腕を組む。
「宝石も、マリア様が託したものだ。彼女が自らの道と覚悟を決めた時、ランベルト大侯爵、あんたのように危害を加えようする者から守り、導(しるべ)となるようにな」
「私は、私は認めぬぞ」
尚も首を横に振りメアリが王女であることを否定するランベルトに、イアンは「ならば、とっておきの証拠を」と懐に手を入れた。
そうして取り出したのは筒に入った書簡。
「メイナード王よりの遺言書とメアリ王女の出生証明書です」
どうぞ見分をと、イアンが円卓の上に書簡を置くと、大臣や騎士らが一斉に集まり覗き込む。