一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


『我が娘、メアリ・ローゼンライト・アクアルーナが国の為にと立つ時は、メアリを国の希望とし、助け、従うことを切に願う』


しっかりと綴られた文字を確認した者たちは皆目を見張った。

出生証明書には王と王女の直筆のサインが綴られており、最早疑う余地もなく誰もが頷く。


「これは確かに王の筆跡」

「印も王が所有している御璽のものだ」


ランベルトは気の抜けた顔で、それでも信じないと、信じたくないと言うように頭を振るばかり。

偽造だと繰り返し呟くランベルトに、イアンは窘めるように語り掛ける。


「だから申しあげたはず。今動きすぎるとあらぬ疑いをかけられるのでは、と」

「う、疑いなど」

「かけられてないと? けれど、メアリ王女を亡き者にしようとした今、あなたがヴラフォスと通じている可能性もゼロではなくなった」


イアンの言葉にランベルトの顔が青ざめていく。

その様子を見守っていたオースティンは「衛兵」とふたりの兵士に声をかけた。


「ランベルト大侯爵を地下牢へ」

「はっ!」

「ルーカス。悪いが念のためお前も行ってくれ」

「リョーカイ」


< 74 / 330 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop