一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
『我が娘、メアリ・ローゼンライト・アクアルーナが国の為にと立つ時は、メアリを国の希望とし、助け、従うことを切に願う』
しっかりと綴られた文字を確認した者たちは皆目を見張った。
出生証明書には王と王女の直筆のサインが綴られており、最早疑う余地もなく誰もが頷く。
「これは確かに王の筆跡」
「印も王が所有している御璽のものだ」
ランベルトは気の抜けた顔で、それでも信じないと、信じたくないと言うように頭を振るばかり。
偽造だと繰り返し呟くランベルトに、イアンは窘めるように語り掛ける。
「だから申しあげたはず。今動きすぎるとあらぬ疑いをかけられるのでは、と」
「う、疑いなど」
「かけられてないと? けれど、メアリ王女を亡き者にしようとした今、あなたがヴラフォスと通じている可能性もゼロではなくなった」
イアンの言葉にランベルトの顔が青ざめていく。
その様子を見守っていたオースティンは「衛兵」とふたりの兵士に声をかけた。
「ランベルト大侯爵を地下牢へ」
「はっ!」
「ルーカス。悪いが念のためお前も行ってくれ」
「リョーカイ」