一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
「外出したい時はどうすればいいですか?」
「基本、執務以外での外出は許されていない。城内ならばどこへでも可能だが、それでも必ず護衛の騎士をつけるようにしてくれ」
この護衛の話もさきほど出たものだ。
予知された暗殺が誰の手によるものかわからない。
ティオ族に流れる巫女の力のことはまだ知られていないにしろ、その者が命を狙わぬとも限らぬ。
故に、部屋から出る際は必ず扉の前に待機している騎士を連れて出るようにとオースティンより伝えられたのだ。
元より近衛騎士は王の盾であり矛として存在する直属の騎士たち。
父、メイナードもオースティンや騎士団の隊長クラスの者を連れて歩いていた。
迎賓の間で会う際も外に控えていたなとメアリは思い出す。
お茶を飲みながら談笑した優しい日々を思い返して、ふいに礼拝堂で眠る父に会いたいという感情に駆られる。
「あの、父様には会えますか?」
「王位継承の正式な手続きは喪に服した後だが、君は王女だ。君が望むならいつでも。礼拝堂の衛兵にも伝えておこう」
イアンが微笑むと、メアリもまた笑みを返し頭を下げた。