一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


オースティンがメアリの元を訪れたのは夕食の後だ。

侍女たちが自室のダイニングルームから食器を下げたタイミングで顔を見せたのだが、ユリウスも共に訪れた。

優雅にお辞儀するユリウスの横で、オースティンも一礼する。


「今後の警護についてですが、しばらくはユリウスが就くことになりました」

「ユリウス様おひとりですか?」

「はい。普段は私が。私が就けない時は代わりの者になります」


よろしくお願いしますと美しい所作で再び会釈をしたユリウスに、メアリは内心安堵していた。

正直なところ、なるべく接しやすい者がいいと思っていたからだ。

けれどもウィルのように親しすぎても甘えてしまう可能性が否めなかったので、憧れの騎士であり近すぎず遠すぎずの関係性であるユリウスが就いてくれるのはありがたい気持ちだった。

メアリもよろしくお願いしますと頭を下げ返すと、オースティンが続けて知らせる。


「また、葬儀は明日の日没にと先ほど決まりました。その際にはユリウス、ルーカスの隊が常に王女の警護を務めます」

「はい。よろしくお願いします」


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