一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
此度の葬儀は国内の王族や重臣、貴族たちが中心のものとなるが、後継者が生きており戻ったという話はすでに広まり始めていた。
食事前に侍女から聞いた話では、メアリの名は明かされてはいないが、王女の生存と帰還についてもすでに城下町の各広場で布告がされ、民は皆表情を明るくしながら喜びを語っていたとのことだ。
メアリは街の人たちの顔を思い出し嬉しい気持ちを持ちながらも、自らに与えられた役割の重さに気を引き締めてから、料理人たちが王女の為にと腕を振るった食事を味わったのは記憶に新しい。
葬儀はメアリが王女として果たす初めての務め。
オースティンは、明日は朝から葬儀の流れや作法についてイアンから説明があることを伝えると、廊下に控えていますと言い残したユリウスと共に部屋を退出した。
静かになった自室で、今閉まったばかりの扉をメアリは落ち着かない気持ちで見つめる。
(ユリウス様ならと安心したけど、よく考えたらずっと立っていてもらうなんて申し訳ないし、ユリウス様が専属の騎士って……なんだか、とんでもないのでは)
それがユリウスの仕事だとわかってはいても、慣れていないメアリは扉の向こうにいるであろうユリウスが気になってしまう。