一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
「おっと、申し訳ない。でもなぁ、なんか変な感じなんだよなぁ」
正直な気持ちを口にするルーカスに、すぐ後ろにいるウィルも微妙な面持ちで小さく頷く。
「俺も、メアリに敬語は気持ち悪い」
「私もウィルや皆さんに敬語を使われるのは気持ち悪いかも」
メアリまで一緒になって同意すると、他の騎士たちからも笑みが零れた。
和やかな雰囲気にこれでは士気に関わるのではと心配しため息を吐いたユリウス。
けれど、皆を咎めることはせず仕方なさそうに微笑む。
「さあ、そろそろ陽が落ちます。部屋へ戻りましょう」
「はい、ユリウス」
うっすらと空に浮かぶ少しふっくらとした月の下、メアリは黒いベールを風に靡かせ先祖や親族、家族の眠る墓地をあとにした。