一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
葬儀から三日経ち、アクアルーナ城は少しずつ活気を取り戻していた。
日々レッスンに追われているメアリが王女として努力を重ねている。
その姿が自然と皆の心を前向きにしているのではとユリウスから聞いたメアリは素直に嬉しく思った。
だが、慣れない環境にメアリの体には当然のごとく疲労が蓄積されてゆく。
今日も朝からみっちり受けた指導により疲れを感じながらユリウスと共に自室に戻ったメアリは、間も無く使用人たちに運ばれてきたドレスや装飾品の数々に目を丸くした。
「あの、これはどなたからですか?」
メアリが髭をたくわえた使用人に問うと、彼の口から数人の名前が紡がれるが、そのどれもが男性の名前であり、加えてメアリの知る人物ではなく首をひねる。
ただ、どれも侯爵様や子爵様等と呼ばれていたので、貴族の者であることは理解した。
けれど、なぜ彼らからこのような物が届いたのかは理解できず、メアリは思わずユリウスを見る。
メアリの視線の意味を悟ったユリウスは、部屋から出ていく使用人たちを見送ると当然のように「婚約を狙ってのものだろうな」と言った。