甘く抱いて、そしてキスして…【完】
「お疲れ様、美園」
翔太郎がクルミと翔太とじゃれ合っている。
癒されている翔太郎の笑顔。
「あ、あれ、ひまわりの種買ってこないとなー」
翔太郎は、ちゃんと気づいてくれた。
「そうなの、だから、電話したのに。帰りに買って来て欲しくて」
私はちょっと不満気な表情で言った。
「あーごめん」
「ねぇ、なんで、なんで、穂乃香さんが翔太郎の電話に出るの?」
「ああ、美園なら、穂乃香が出ようかって言ったからさー」
「……そんなのおかしいよ」
「ねぇ、穂乃香さん、いつまで翔太郎に頼り続けるの?まだこれからもずっと続くの?」
私のイライラ度は、頂点に達した。
「どうした?美園、またやきもちか?」
「……もう、そんなレベルじゃないでしょ?」
「美園、実は、明後日からの冬期講習、穂乃香が手伝ってくれるって言ってきたから、お願いしたんだけど………」
私の様子を窺う翔太郎。
「は?……嫌」
「ん?」
「だから、嫌、絶対に嫌」
「嫌なのか……」
深いため息をつく翔太郎。
それを見て、少ししまったと後悔する私。
「あーほかの校舎なら、いい……」
何か思いを巡らしている翔太郎。
「そ、そうだな、ここだと真田もいるから、違う校舎がいいよな。それなら大丈夫か?」
「………うん……その方が助かる」