甘く抱いて、そしてキスして…【完】
第2節 クリスマスイブ
「よし、朝のうちに買い物すませなきゃ」
私は、うきうきしながら、身支度する。
翔太郎、今日がクリスマスイブってわかってんのかな?
多分、気づいてないなー
昨年も仕事で、それどころじゃなかったし。
今年は私からのサプライズにしよ。
「クルミ、翔太、仲良くね。行ってくるね」
私は、1階へゆっくり降りて行った。
トントン
トントン
ん?
誰だ?
私は走って、入り口まで行き、扉を開けた。
「あーおはよう、立石先生。早いね。どうしたの?」
私は少し息を切らす。
「すみません、資料忘れちゃって」
吐く息は白い。
外の寒さを実感する。
「あーそうなの、どうぞ」
「美園先生、お出かけでしたか?」
「うん、朝のうちに買い物をね。ほら、今日クリスマスイブじゃない?」
私は無邪気に笑って見せた。
「あ、じゃあ、送りましょうか?寒いですし」
「え、本当に?助かる。ラッキーよろしく!」
私は思わず笑みがこぼれる。
「いえ、たまにはね、それくらいしますよ。どうぞ」
立石先生は、いつものあどけないキュートな表情を見せた。
私は、鍵を閉めて、立石先生の車にそっと乗り込んだ。