甘く抱いて、そしてキスして…【完】
何だかいい匂い…
これ、立石先生の匂いじゃない?
爽やかなはず…


「美園先生、どこ行きます?岡田百貨店とかですか?」


「うん、そうそう、さすが立石先生だね」

「あーそう言えば、明日から穂乃香さん、来てくれるらしいですね。朝、社長から、電話入りました」
緩やかな表情の立石先生。

「うん、そうなの。立石先生のとこで、頼むね」
私は、何とか上手くやってくれ、その思いで、脳みそは満タンだった。


「はい。それにしても、穂乃香さんは、社長のこと好きなんですかね?ちょっと頼りすぎのような気がします」


立石先生、わかる?
そうだよね?
やっぱそう思うよね?
絶対好きだよね?


「でしょ?私も、正直そう思う……」

2人は、互いに振り向いた。
同意の合図。


「社長、優しすぎ。僕なら、美園先生一筋です」
ちょっと顔が赤くなる。


「……あはは…ありがとう」
太陽からの強い光で、私の顔も明るく照らされた。



「それで、クリスマスプレゼント、何買うんですか?」


「うふっ、内緒」


「うわぁー内緒?いいなー社長は愛されて、羨ましい。美園先生、僕の助手席はいつも空いてますよ」
ニヤリと笑いかける立石先生。


「うーん、じゃあずっと空けといて、ずっとずっと」
私もニヤリと笑い返した。


「ずっと?わかりました。ずっとずっと空けときます」


また、互いに見つめ合う立石先生と私。


カッコイイな。
立石先生なら、すぐ彼女見つかりそうなのに。
優しいし、誠実だし。
スタイル抜群だし。






「あそこに停めればいいですか?」
立石先生が、指をさす。


「うん、ありがとう」
私は首を縦に振った。


「帰りは大丈夫ですか?」


「大丈夫だよ。本当に助かった。ありがとう。気をつけて帰ってね」


私は頭を下げて、車から降りた。

バイバイ
めいっぱい手を振った。








「美園?なんだあれ、立石の車じゃん…」



私はたまたま翔太郎が、私のその姿を目撃したなんて、全く気づかなかった。





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