甘く抱いて、そしてキスして…【完】
「ただいま。翔太郎、疲れたでしょ?」
「あれ、なんだこれ!」
翔太郎は目を丸くした。
「うふふ、びっくりした?クルミと翔太の子供だよ……わざと内緒にしてたんだー」
私は、茶目っ気たっぷりで話す。
「へぇー何匹いるんだ?」
ケージを覗き込みながら、私に尋ねてくる。
「4匹よ。もうだいぶ大きくなったの。生まれた時は私の小指の半分くらいの大きさだったよ」
「可愛いでしょ?」
「うん、可愛いなぁ…」
2人とも、今まで何度も、クルミと翔太に癒されてきた。
私が、ここで翔太郎を待てたのも、翔太郎がこの家にいると思えたからかもしれない。
それに、そもそもクルミがいたから、私は翔太郎の所に来たと言っても過言ではない。
「美園、留守番お疲れ様。本当にありがとう」
翔太郎は爽やかな笑顔。
「うん、翔太郎が頑張ってるんだよ。私だって頑張るよ」
徐々にこみ上げる深い熱い想い。
「美園、俺は世界一のプリンスを目指すって言ったろ…………おいで」
翔太郎は、私の右手を引っ張り、いつものようにくるりと抱き寄せた。
「美園、よく聞け」
「今日、入籍する」
翔太郎は、そう言うと、今までにないくらい強く激しく私を抱きしめた。
私はコクリと頷いた。
待ってたよ、翔太郎。
その言葉、私、待ってたよ。
「幸せになろう。世界一のプリンセス」