甘く抱いて、そしてキスして…【完】
「美園、仕事キャンセルになったから、ちょっと2人で出かけようか?」

「え?本当に?やったぁ」
朝に私が立てた予定はすっかり吹っ飛んだ。

「でも、翔太郎寝てないよね?大丈夫なの?」
私は嬉しいものの、心配で、翔太郎の顔色をうかがう。

「大丈夫だよ、寝ないのは慣れてるから」
優しくふんわりとそう答える翔太郎。

「うん、わかった、ありがとう。
久しぶりのデートだね。」
私は無邪気に笑って翔太郎をまた深々と見つめた。


「行きたいとこ、あるんだ。いい?」
少し顔を下に向けながら答える翔太郎。


「うん、いいよ」
私は胸をときめかせた。

「着替えてくる」
翔太郎は、寝室へ入っていった。



その後ろ姿を眺めて、私はふと、あの翔太郎の母親からの手紙を思い出してしまった……



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