甘く抱いて、そしてキスして…【完】
翔太郎は私をグッと力強く持ち上げ、見事に肩車をしてくれた。

「高いー高いよー翔太郎からはこんな景色に見えるんだね」

さすがに20cm近くも身長差があると、普段から自然に目に入るものも違うのだろうと妙に納得した。

「スマホ貸して、ちゃんと押さえていてよ」

私は、翔太郎に少しずつ回れと指示しながら、360度の景色を綺麗にカメラに収めた。


「もうー最高!ありがとう、翔太郎、こんな大事な場所に連れてきてくれてありがとう」


「どういたしまして、美園」
そして、翔太郎は、ポンっと両手をさらに上に伸ばし、私を自分の厚い胸元に置いた。
私はお姫様抱っこ状態になった。

翔太郎の顔をまじまじと見る。
照れる。

「は、恥ずかしい…」
いつもの心の声が、ついつい出てしまった。

あ、あー心臓がざわつき始める。

「む、胸が……」

「ん?」ちょっとやりすぎた?みたいな表情で、翔太郎は、私の顔に自分の顔を近づけてきた。

「胸がどうした?」
わざとらしく真剣に聞く翔太郎。


本当は、分かってるくせに、意地悪なんだから。
私に言わせたいの?



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