甘く抱いて、そしてキスして…【完】

な、何？3名って誰が来るの？

私は息を荒らしながら、トイレに飛び込んだ。
美しく妖艶な雰囲気が漂う。
間接照明が見事に、安らぎと癒しを与える。

あ、あ、とにかくメイクぐらい直したいよ、バカ翔太郎、言ってくれなきゃ。


私は、前にもこんな風に駅のトイレに駆け込んだことを思い出した。
翔太郎に会うために、メイクを必死で直したあの時の慌てふためいた私。

懐かしいなぁ…

今日までの一連の記憶が瞬く間に流れていき、私の大きな不安と動揺、葛藤を包み込んでくれた。


少しずつ落ち着きを取り戻し、私はファンデーションから塗り直した……
最後は口紅。
私は、鏡で自分の顔、全身を何度も確認した。



よし、大丈夫、行こう！

翔太郎をこれ以上待たせることは出来ない。

私はトイレの扉をそっと開け、翔太郎の元へ向かって行った。


「お待たせ、ごめんなさい。」


「大丈夫だ、美園、びっくりさせたみたいで悪かった。今日は実は紹介したい人がいるんだ」


「え？そうなの？」